2025/10/24 22:27
学生の頃、アートはいつも私のすぐそばにありました。
授業が終われば友達と集まって、
「芸術って何だろう」なんて語り合いながら夜を過ごす日々。
絵を描くことも、ものを作ることも、
“表現すること”が呼吸のように当たり前だった。
かっこいいものに憧れて、
かっこいい人になりたくて、
その世界の中で生きていくと思っていた。
でも、いつの間にか世界は変わっていました。
家のこと、子どものこと、自分のこと。
どれもうまくできないような気がして、
周りの人はキラキラ見えて、
気づけば、「かっこいい世界」は自分とは関係のない場所になっていた。
アートを語る人や、
表現の中で生きている人を羨ましく思いながら、
どこかで嫉妬もしていたと思います。
そんな私がもう一度、
心が震えるものと出会えたのは、きものでした。
触れて、袖を通して、帯を締めて
少しずつ、自分の輪郭が戻ってくるような感覚がありました。
色や質感、柄の組み合わせ。
そこにはまるで絵画のような構成があり、一つひとつの糸に作り手の美意識と祈りが込められている。
アートを観る側だった私が、
いつの間にかアートを纏う側になっていたのです。
きものを通して、
もう一度「美しい」と心から思える瞬間に出会えた。
それは、
かつて絵を描いていた頃に感じていたあの感覚に似ている。
表現する喜び。
そして、誰かの手によって生まれた美しさを
自分の身体を通して表現できるということ。
きものを着ることは、
私にとって“生き方”に近いものになりました。
今でも、
自分に自信があるわけではありません。
うまくいかないことだらけです。
でも、
素敵なものを素敵だと感じられる今の自分が
少しだけ好きになれました。
心が震える美しさに出会うたび、
あの頃の迷いや不安も、無駄じゃなかったと思える。
そして今日も、
私はこの“きもの”というアートの中で生きています。
今日もお付き合いいただき、ありがとうございました☺︎

